形成外科学会について 

前回の続きです。

日本美容外科学会(JSAPS)の専門医になるためには、形成外科学会の専門医が必要であることをお話しました。

この形成外科学会専門医ですが、学会に入会して6年以上で、自分が手がけた手術の症例60症例の記録と10症例の詳しい記録の提出が必要です。

10症例に必要な領域は、美容はもちろん、顔面の先天奇形、手の奇形、外傷、頭頚部の癌切除後の再建、乳房再建、傷痕修正など広い分野での手術の経験が必要です。

もちろん形成外科専門医の筆記試験と面接試問があります。

私は今から15年前にこの形成外科専門医を取りましたが、年々難しくなってきているようですし、今後もさらに難しくなるようです。

これでやっと美容外科専門医をとる資格を得るのですが、実はこの上にさらに美容外科の手術の記録が20症例必要であることと、ほかの専門医の先生の推薦状が必要になってきます。手がける分野としては重瞼術、上眼瞼しわとり、隆鼻術、顔面のしわとり手術、豊胸術、顔面骨切り、おとがい形成、脂肪吸引などが必要になります。

したがってJSAPSの専門医になるにはかなりの修行年限が必要で、私は今から2年前にやっと美容外科専門医を取ることができました。

美容外科専門医だから手術がうまい、とは決しておもいませんが、これだけの幅広い分野の手術を手がけてその結果についてフォローしてきたことは事実です。

2つの美容外科学会 

ご存知の方もいると思いますが、日本には同じ名前の「美容外科学会」が2つあります。

英語表記では一方はJapan society of aestheticsurgery(JSAS), もう一つはJapan society of aesthetic plasticsurgery(JSAPS)、ですので区別がつきます。

これをあえて日本語に直訳するとJSASは日本美容外科学会、JSAPSは日本美容形成外科学会になります。 

所属学会で美容外科医を区別することはナンセンスですのであえて言及しません。

しかし患者さんにこの2つの学会がどう違うのかをお知らせする必要はあると思います。

特に美容外科専門医をお探しのかたには、特にこの学会の違いを知っていないと混乱する可能性があります。

専門医になるにはさまざまな条件をクリアしている必要があります。学会所属年数や症例数、症例内容などは両方とも基本的に問われます。

この2つの学会の専門医の条件で一番大きな違いは、JSAPSの美容外科専門医では前提として形成外科の専門医であることが問われるのです。

次回はこの形成外科学会について少しお話したいと思います。

 

 

学会報告のつづき 

前回の学会報告の続きです。

興味深かったのは、アクアミドについてです。アクアミドあるいはpolyacrylamideは、注入物としてはそれほど新しいものではないのですが、今回はその中でも100%ポリマーといわれている「コスモジェル」についての発表でした。

従来のアクアミドとの違いは、注入の方法が組織内への注射ではなく、手術に近い方法でポケットをつくって注入するところです。

取り出すこともできるので、安全性が強調されていました。

その後、別の大学の先生がこの注入物の成分分析の結果を報告されていました。

その結果は確かにアクアミドとちがってほぼポリマーのみでしたが、ほんのわずか違う成分が混入されていて、これが何であるかさらに詳しく調べる必要があるということでした。

この手のものは、安全性が確保されれば非常に有用なものです。今の段階では限りなく白に近い灰色といったところでしょうか?

金の糸による若返り? 

7月19日、福岡で日本美容外科学会があり出席しました。

いろいろな発表があり勉強になりましたが、その中で「金の糸」についてのコメントがありました。

内容は金の糸の効用ではなく、そのマイナス面でした。金属アレルギーによって金の糸が出てきてしまう、などの合併症が提示されていました。

また効用面では、科学的な根拠がないとこれもかなり否定的で、この施術に100万〜200万円かけるのはどうでしょうか、といった内容でした。

「金の糸」肯定派の先生は、文献を実際にみせて反論していましたが、この論文が古いロシア語のものでその先生も内容についてははっきり納得しているようではなさそうでした。

金の糸については、私も以前このブログの記事で書きましたが、はっきりした若がえりの効果を期待して受ける手術ではないような気がしています。

しかし、美容の手術は最終的に患者さんの満足が第1ですので、ご希望があればアレルギーのないことを確認したうえで手術を受けるのもいいのかもしれません。

それにしても効果の根拠がはっきりしない手術に、100万円以上払おうという奇特な人が世の中にはいるのですね・・・。

形成外科学会 

先週われらの地元、名古屋で「形成外科学会総会」がありました。

この学会でわたしが注目していたのは、上まぶたに関する演題でした。眼瞼下垂の発生機序について信州大学の先生の発表がありました(ご存知のように信州大学の松尾教授は、眼瞼下垂についての元祖。)

何回も上まぶたの手術をすることで、術後眼瞼下垂になるのは挙筋の層がズレてくることによる、というのが私の持論なのですが(過去の記事参照)、そのことに関する発表かとおもって期待していたところ、内容はちょっとちがっていました。

松尾先生は眼瞼挙筋にはsuperficialとmiddle、 deepの3層があることを指摘されていて、今回もそのことにはふれられていました。

今回の学会では、美容外科のセッションは半日しかなく欠題が目立ったにもかかわらず、会場はほとんど満員で関心の高さがうかがえました。

私は今回の学会では演題を出しませんでしたが、秋の美容外科学会(広島)にはなにか発表する予定です。

今年の学会活動 

ちょっと以前の話になりますが、平成19年10月6,7日と北海道で日本美容外科学会がありました。今回は普通の演題形式が少なくなって、逆にビデオセッションとパネルディスカッションが充実していました。聞く側にとっては内容が充実していてすごく良かったのでは・・・と思いましたが、準備するほうは結構大変でした。

 

私は「鼻」のパネラーに指名されて発表しましたが、私以外の演者には聖路加の大竹先生、石田クリニックの石田先生、リッツ東京院の広比先生といった重鎮の先生方がメンバーでとても緊張しました。なんとか無事に終了し、今年の学会活動も終了ということでやれやれです。

 

来年は広島での学会が予定されているようです。